負傷・タカハシ、昨日は久しぶりに「そろそろ夏物でも」と休日の買い物に出たところ、とんでもない物を発見、ついつい購入してしまいました。
今から23年前、1990年に消滅したドイツ民主共和国、つまり東ドイツの軍の制服です。袖口に袖章が付いているのでパレード用とのこと。勤務服ではなく歴とした礼服ですね。
襟章と袖章のデザインから兵・下士官用。おそらく生地は古いタイプのウール混紡フェルトで、防寒性は良好ですがとにかく重いです。
見ての通りプロイセン王国の流れを汲むデザインでご丁寧に両肩に肩パットが入っており、間違いなく「背中で着る」「シルエットで着る」タイプのジャケットです。
背中にタグが縫い付けてあるのでデッドストック新品だというのがわかります。
欧州流儀の服飾(日本のオーダーメイド紳士服も含む)のサイズはチェスト、つまり胸囲を基準とします(厳密には胸囲の半分。服の型紙を起こす際には半身で起こすため。単位はcm。英米はフィート)が、実はフニャフニャのソフトジャケットならともかく、素材が革だろうがウールだろうが、いわゆる「肩の入った」デザインの既製服の場合は肩幅で合わせるようにしないと非常にみっともないものになります。
「服飾に自分を合わせる」という歪んだ考え方がどこから発祥したのかはわかりませんが、少なくとも既製品の場合は「自分の体形に合うブランドを探す」というのが、欧州だろうがどこだろうが本道であろうと思います。実際、本道はやはり着用者の体形に合わせたオーダーメイドということになるわけですから。
というわけで、この制服のサイズ、チェストでは52、つまり胸囲104cm。本来、負傷・タカハシはこんなゴリラ・サイズではないのですが、先述の肩パットのせいか、「肩で合わせる」とこのような結果となりました。丈はドイツではK(短)、M(中)、G(長)の3サイズのはずなのですが、あいにくGしかなく、ちょっと長い感じですがショート・コートと考えれば良いでしょう。
タグを見ると身長区分はなんと1~11まで11段階、フルラインアップで用意されています。右上の「18」はドロップ寸(胸囲から胴囲を引いたもの)でしょう。一般にドロップ寸はこの半分の数値で表しますから普通の表現では「9」ですね。
普段着として着用するには襟章や肩章をはずしたいところですが、問題はすでに存在しない国の制服であるという資料的価値。なんだかこのままタグも外さず、一切の手を加えずに資料倉庫行きになりそうな気配。こうして我が家には常人に価値の理解が不能なガラクタが増殖して行くのであります。
ハッ、そう言えば夏物衣料は…(汗)